【黎明】 「双葉……! どうしてこんなことを――!?」 憤りと驚愕、そして悲しみが ない交ぜになった声で、 黎明が絶叫するのが聞こえた。 ……叱られてもしょうがないって、 自分でも思う。 さっき散々「逃げろ」って 言われたばかりなのに。 守るべき相手に庇われた黎明が、 どんな気持ちでいるのか―― 分かり過ぎるくらい分かってるつもり。 だけど、私は――。 【双葉】 「……守られてるだけなんて、嫌なの」 【双葉】 「私だって、2人の――黎明の為に、 何かしたい……!」 傷の痛みを必死に堪えながら、 そう答えた。 そして、実感する。 ――黎明は今までずっと、 1人でこの痛みに耐えてきたんだって。 私を守る為に、 これと同じ傷を負ってきたんだろうって。 |