【双葉】
「黎明っ……!」
たった今起こった出来事を目の当たりにして、
私は絶叫した。
眼前にある黎明の唇が、苦しげな息遣いと共に
きつく噛み締められる。
【黎明】
「大……丈夫ですか? 双葉……」
黎明は瞼をきつく閉じ、
たった今もたらされた痛みをこらえている
様子だった。
制服の左肩の辺りが大きく裂け――
痛々しい傷口が露出している。
【双葉】
「あなた、どうして……!」
あまりの驚きに喉が引きつると共に、
頭の中が真っ白になって……
うまく声が出なかった。