【マクシミリアン】
「お前はじきに、あの鳥籠に入れられる羽目に
 なるだろうね」

マクシミリアンは冷ややかな声で断言する。

【マクシミリアン】
「前にも言ったと思うけれど、ツインヴァッハも
ロアクリストも、この世界を守るためならば、
お前の意志がどうであっても構わないはずだ」

【マクシミリアン】
「リーベを生むアリシスさえ手に入ればいい。
お前が故郷や両親を想う気持ちを疎み、排除しよう
としてくるだろう」

【瑠奈】
「そ、そんなことありません!! 双子ちゃんも、
ロアクリストのみんなも……そんな酷い人達じゃ
ないです!!」

湧き上がった感情を、正面からマクシミリアンに
ぶつけた。
それを受けた彼の瞳が、すっと細められる。

マクシミリアンはゆっくりと近づき、腕の中へ囲い
込むように、バルコニーの壁に手をついた。

【瑠奈】
「……っっ?!」

背中が壁に押さえつけられる。
じっと見詰められた瞳に縛られ、身動きが取れない。
逃げ道を奪われて、私は息を飲む。

【瑠奈】
「……マ、マクシミリアン。どいてください」

【マクシミリアン】
「断る」

彼の瞳が鈍く光って、私の瞳を射抜く。

【マクシミリアン】
「忠告だ、瑠奈。神の意志に従う奴らは平気で
裏切る。そして必ず、お前を不幸にする」

迷いのない言葉がすぐ側で紡がれた。

私の指先が、心を満たそうとしている不安に
小さく震える。